虫のいい日々

あぶはち取らずと言われても、極楽とんぼで過ごしたい。
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  • 有川浩『シアター!』
    藍色 (03/16)
  • 2011年1月の読んだものリスト
    ならの (02/10)
  • 2011年1月の読んだものリスト
    To-ko (02/09)
  • 有川浩『フリーター、家を買う。』
    藍色 (12/18)
  • 勝間和代+香山リカ『勝間さん、努力で幸せになれますか』
    ならの (02/14)
  • 勝間和代+香山リカ『勝間さん、努力で幸せになれますか』
    ぷぁるこ (02/14)
  • 勝間和代+香山リカ『勝間さん、努力で幸せになれますか』
    ならの (02/13)
  • 勝間和代+香山リカ『勝間さん、努力で幸せになれますか』
    まりさん (02/12)
  • 蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語』
    ならの (01/24)
  • 古屋安雄『なぜ日本にキリスト教は広まらないのか 近代日本とキリスト教』
    ならの (01/24)
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2011年は……
さまざまに価値観を揺さぶられ、そして同時に、揺るぎのない部分を自覚した、一年でした。そしていま実感しているのは、言ってみれば当たり前のことなんだけど、「私が生きているかぎり、私の時間は進む」ということです。よくも悪しくも。進んでくれるし、進んでしまう。

何かをしなくてはと焦っているうちに容赦なく時が流れ、どんどん本来あるべきだった状態に遅れをとってしまったりする反面、ある時点ではいつまでも続くかと思えた痛みも、目の前のことだけ見つめてじっと耐えているうちに、いつのまにか時の流れとともに緩和されている(こともある)。

そんなことが、改めて考えると、けっこうすごいことのように思えたのです。

さて。大晦日でもあることなので、去年と一昨年にならって、今年読んだ本のなかから、印象に残ったものを5冊、選んでみました。順不同……でもないかな。今回はわりと、インパクトの強かったもの順かも。リンク先は、Amazon.co.jpの詳細情報ページです。


  • Elizabeth Edwards "Resilience: Reflections on the Burdens and Gifts of Facing Life's Adversities"(Broadway, 2009年5月〔最終章のみ2010年〕)
     5月読了。真っ先に挙がるのが、米国セレブ自伝本っていうのはどうかと思われる向きもあるかもしれませんが、今年は迷わずこれがトップ。次々と襲いかかる、自分では防ぎようのない苦難を前に、「なぜ自分が、こんな目に?」と茫然とするところから、徐々に運命を受け入れ気持ちの上で立ち向かっていくまでの心の動きが、とても繊細なやわらかい文章で綴られていました。結局、著者の方は闘病の末、ちょうど1年前、2010年12月に亡くなってしまったのですが。とにかく、文章が魅力的だった。
     そして私自身が今年は、ずっと低い次元でのものではありましたが「なぜ、こんなことに?」と考えてしまうような局面に遭遇していたため、読み終えたあと何ヶ月にもわたって、心の指針を探すうえでの、よすがのひとつとなりました。



  • 乾石智子『夜の写本師』(東京創元社,2011年4月)
     8月読了。緻密に構成された、奥行きのある架空世界。淡々と静かなのに、こちらに向かって圧力を感じる文章。すごく好きなタイプのファンタジーでした。特に意識せずに読み始めたのに、読んでるうちに、じわじわと「ああ、こういうのを私は求めていたんだなあ」と目の前が開けてため息がもれるような。今後の作品にも期待。


  • Robert J. Sawyer "WWW: Wonder"(Ace, 2011年4月)
     4月読了。3部作の完結編で大団円(個人的には、本当にこれを完璧な大団円と言っていいのかちょっと引っかかりはするんだけど、少なくともソウヤー自身は、めでたしめでたしの解決はこうじゃないと、と信じていることがうかがえる)。なんだかんだ言ってもソウヤーは好きなんだよね。いつも、作者の主張が前面に出すぎじゃないかとか、あまりに性善説だとか、未来を信じすぎだぜと思いつつ、結局はその前向きな甘さがあってこそのソウヤーなんだなって。
     今年の春は、なにかと落ち込み気味だったので、これくらい脳天気なお話が読めてよかった。私たちが生きている「いま」と地続きの近未来におけるインターネットの、もしかしてもしかしたら、あり得るのではというくらいリアリティを感じさせると同時に、どう考えても発想がぶっ飛んでる事象(なんて表現では言い表せないかもしれないけど)の描き方も、すごくわくわくして面白かった。



  • 大野更紗『困ってるひと』(ポプラ社,2011年6月)
     7月読了。ちょうど7月下旬から9月上旬の、入院期間中に読んでた本でした。著者の大野さんに比べれば、私のはぜんぜん大したことない病状でお気楽と言っていい入院生活だったけど、病院やお医者さんたちのことについて、ツボにはまる表現があちこちにあってなんとなく臨場感。本当は、比べることすらおこがましいわと思えるくらい、難病に苦しむ大野さんが置かれた状況はすさまじいのですけれど。それをこんなふうにライトな文体で面白い読み物として書けてしまう精神力には、本当に驚嘆。
     入院中は、退院間際になってすべての検査結果が出るまで、今後どのように自分の病気とつきあっていけばいいのかの方針がはっきりせず宙ぶらりんだったので、脳内で自分の貯金と今後かかっていく医療費に基づきいろんなシミュレーションをしては「金の切れ目が命の切れ目」的な世界がひしひしとリアルに迫ってくるえげつなさに、なんだかかえって可笑しみさえ感じて笑えてきたりしていたのですが、この本のことを思い出したら、へらへら笑ってるだけじゃダメなんだ(笑うことも必要だけど)、実務的なことをちゃんと考えて、自分だけのことに終わらないさまざまな問題点を考えていかなければ、と地に足がついたような気がしました(気がしただけかも)。
     あ、結局、少なくともいまのところは、これからずっと気にしていく必要はあるけど、最初に覚悟していたほど深刻な事態には陥らずにすんでいます。一部の方々には一時期、ご心配をおかけしてすみませんでした。でもこのとき考えたことは、忘れないようにする。



  • 白井恵理子『劉備くん 阿斗のまつり』(メディアファクトリー,2011年3月)
     3月読了。あの大地震の直後からしばらく、実際にはしつこい余震と輪番停電に翻弄されたくらいで、直接被災したわけでもないくせに、なんだか現実に打ちのめされてしまったような感じで、本、特にフィクションに没入することができずにいました。これは月末になってようやく手を出したフィクション(4コマ漫画だけど)のうちの、1冊です。
     そして、連載していた雑誌がなくなってしまったため、長いあいだ楽しませてもらった「劉備くん」シリーズの、メディアファクトリーでの最終巻でもありました。最後にこのタイミングで出版されて、理不尽に沈みがちな気持ちを浮上させてもらえた、めぐり合わせに感謝しています。誰も死なない(というか、たとえ死んでても登場する)、みんなが基本的には仲良しになっちゃってる不思議な三国志ワールドが、私は大好きでした。どの子もこの子も、キャラがみんな愛しい。これまで掲載誌を変えつつ、何度も復活しているシリーズなので、いつかまたどこかで出会えることを信じてる。



こうやって書き出してみると、私にとってのインパクトがあった本というのは、その本を読んだときの私自身の状況とも、密接に関わっているのだなって分かりますね。純粋に「作品内容」の好みだけで選べと言われたら、また違うランキングになってきそう。

しかし私は、ひとさまが書いたものを評価するような偉い人じゃないし、ここは私が私の気持ちを記録するための、私のブログなんだから、きっとこれでいいのだ。

ついでに、もしベスト5じゃなくベスト10にしてたら挙げたかな、というあと5冊の本もリストアップしておこう。こっちは、本当に順番がつけられなかったので、ぜんぶ同列6位って感じです(というか、白状すると、順番を考えてコメントを書く根性が続かなかったのです)。やはりリンク先はAmazon.co.jp。




今年も、そこかしこで、おつきあいくださったみなさま、どうもありがとう。2012年もよろしくお願い申し上げます。
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2011年12月の読んだものリスト
今年は、なんとなく一年を振り返った記事も別途書いてみました。そっちもよろしく。


  • 上田早夕里『華竜の宮』(早川書房,2010年10月)
    がっちりと世界を構築したスケールでかいSF。様相の変わった地球の、人類をも含む生物(そして人工知性体)たちの進化形態の異様さと、ある種の美しさが印象的。個々の信念と種としての生命力への畏敬を感じる。去年出た本だけど、震災を経たいまになって読んだからこそ余計に鮮烈ってとこはあるかも。あと、登場人物にとっては自明でも読者にとってはそうじゃない設定を、会話文等での初出時には説明せずにスルーしたりしていて、その不親切さがむしろ世界のリアリティを高めているのが面白い。

  • 万城目学『偉大なる、しゅららぼん』(集英社,2011年4月)
    滋賀県を舞台にサイキック戦争な青春小説。同著者のこれまでの関西もののなかでもとりわけ派手な要素があるのに、物語の中心はむしろ一番「内輪」スケールな気が。ラストシーンの切り方が絶妙で好き。

  • 成毛眞『日本人の9割に英語はいらない 英語業界のカモになるな!』(祥伝社,2011年9月)
    題名どおりの主旨。目新しいことは言ってないはずなんだけど、とにかく挑発的なフレーズがたくさん。あと、邦訳が出ない作家のファンは涙目(面白い本は翻訳が出るので洋書は読まなくていいそうです)。個人的にあまりピンと来ないのは、自分の周囲に、ここでツッコミ対象になっているような、「本当は必要ないのに英語の勉強で時間を無駄にしてる」ひとが(たぶん)いないせいかも。必要あればやるし、なければやらないのは、普通でしょ。

  • ショーン・タン『アライバル』(翻訳〔あとがき〕:小林美幸/河出書房新社,2011年4月/原書:Shaun Tan "The Arrival" 2006)
    絵だけで進む物語。主人公が新しい土地に徐々に馴染んでついに家族で根付くまで。存在しない場所なのに最初の右も左も分からない状態の不安感をはじめとして、その過程はリアル。不可思議な細部が見てて飽きない。

  • ショーン・タン『遠い町から来た話』(訳:岸本佐知子/河出書房新社,2011年10月/原書:Shaun Tan "Tales from Outer Suburbia" 2008)
    レトロなような斬新なような絵とともに語られる、断片的な小話集。本の造りがすごく凝っていて、日本語版でも丁寧に対応されているのが素敵。「エリック」が、最終ページをめくった瞬間にハッとなって好き。ショーン・タンはオーストラリアで生まれた、マレーシア華人とアイルランド+英国系移民の子孫だそうで、そういうルーツが、『アライバル』に見られる新しい土地へ移住描写に込められた実感や、『遠い町から来た話』での年長者からの伝聞形式の物語のあり方にも影響しているのかな、なんてちょっと想像。

  • 中村うさぎ+マツコ・デラックス『愚の骨頂 続・うさぎとマツコの往復書簡』(毎日新聞社,2011年11月)
    こんなにキャラの突出した人たちが自らに妥協を許さず真摯に突き詰め合っているのに、言葉のチョイスだけは妙に手垢ついて感じられて不思議。むしろできあいの表現でも異端を語れてしまうところに凄味。

  • 篠田節子『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』(文藝春秋,2011年7月)
    中短編4つ。どれも膨らませればスリリングな長編になりそうな着想だけど、敢えてのあっさり仕上げって感じ。「エデン」が一番好み。事情を小出しにして読み手を翻弄しつつ、最後にそう来たか! と。

  • 上野千鶴子+古市憲寿『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください』(光文社新書,2011年10月)
    63歳と26歳の社会学者たちの対話。私はおふたりのあいだの世代なせいか、双方について、分かりはするけど共感しにくい面も。でも本音全開で面白かった(特に古市さん)。当事者意識大事にしよう。


  • 荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』第2巻(小学館,2011年12月)
    校内で調達した材料で作る石窯ピザ美味しそう! 一人異端な背景を持つ八軒くんが周囲から頼り(?)にされたりたくましくなっていったりするのが嬉しい一方で、農家の子たちの現状や想いへの問題提起も気になる。

  • ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ IV』(エンターブレイン,2011年12月)
    あれ、黄金のワンパターンだと思っていたら、なんか急展開!? 毎回すぐに一件落着なんだと思えばこそ、居たたまれないシーンも素直に楽しめてる部分があったので、ちょっと複雑。でも頑張れルシウス。

  • 清水玲子『秘密 トップ・シークレット』第10巻(白泉社,2011年12月)
    薪さんと青木くんが、表面的には遠くなっているのに互いを思う気持ちはどんどん強くなっていて、そばにいる雪子さんの気持ちともども痛々しい。物語としては、次巻あたりでそろそろ大詰め? 怖い。



読みかけを何冊も放置したまま暮れの忙しモードに入ってしまったので、今回の年末年始は年越しさせてしまう本がたくさんありそうです。それもまたよし。
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2011年11月の読んだものリスト
いよいよ、今年もあと1ヶ月。うわあああ……。

  • ナオミ・ノヴィク『テメレア戦記 IV 象牙の帝国』(訳:那波かおり/ヴィレッジブックス,2011年7月/原書:Naomi Novik "Empire of Ivory" 2007)
    ずっとそこはかとなく感じてきた違和感がこの巻で腑に落ちて、しかし第1巻の副題を考えるとしみじみ。舞台はとうとうアフリカの謎の王国にまで及んで、だんだん史実から逸脱していく感じ。

  • 間宮緑『塔の中の女』(講談社,2011年9月)
    ただただ文字を追って、この世のどこでもない、いつでもない光景が脳内に鮮明に広がるのを堪能するのみ。すごく映像的な文章。そして見通しの立たない世界の不条理に翻弄される感じが、なんとなく懐かしい。

  • 萩尾望都『一瞬と永遠と』(幻戯書房,2011年6月)
    古くは80年代後半からの、あちこちで発表された短文集。萩尾さんほどの方でも、成功後でさえご両親から漫画家でいることを反対されてて、そのことを時折どこかで書かずにはいられなかった事実に、親子の難しさを感じる。読書体験についての文章や、文庫本の巻末解説として書かれた文章は、明らかに「書評」ではなく「感想」寄りで、ぶんぶんうなずける表現がたくさんあった。なんかこう、本好き同士の目配せがあるというか。つくる側のひとだけど、純粋な読者目線にもすっぱり切り替えの効くひとなんだな。

  • 松村栄子『ひよっこ茶人、茶会へまいる。』(朝日文庫,2011年8月/親本:『ひよっこ茶人の玉手箱 インターネットでお茶を愉しむ』マガジンハウス,2000年4月)
    2000年に出た親本を加筆・修正したものに、著者が参加したいろんなお茶会の紹介エッセイ、文庫化にあたって作成された全国の茶道の流派の特徴を分かりやすくまとめた表(すごい力作!)を追加。茶道の世界に入って日の浅かった頃の著者が面白さを熱く語る。同著者の茶道小説のルーツを見るようで楽しい。流派を超えたネット経由の同好の士との交流の風通しのよさも魅力的。

  • 新井素子『銀婚式物語』(中央公論新社,2011年10月)
    あれから25年か、というだけでもう(笑)。著者本人のエッセイを思い出し、前作よりさらにノンフィクション度が高いのかもと。波瀾万丈じゃなくても少しずつシビアなことはあるよね。でもほのぼのとお幸せそうでよかった。

  • 彩坂美月『夏の王国で目覚めない』(早川書房,2011年8月)
    本の中で語られる本、作中の事件と劇中劇の事件、登場人物がさらに演じるキャラ……入れ子構造とオーバーラップでもたらされる酩酊感が心地よい。思春期の少女が主人公の物語にふさわしい、さわやかな読後感。

  • 柴崎友香『寝ても覚めても』(河出書房新社,2010年9月)
    面白い書き方。文章の盛り上げで読み手の意識の焦点を絞らせるのでなく、むしろ連続したコマのなかにふっと違うものを挿入して拡散させるような。でも人の意識の動きってじつはこんな感じかもしれないと思わせるような。

  • 山崎ナオコーラ『ニキの屈辱』(河出書房新社,2011年8月)
    一つの恋愛の、何も始まっていないとこから本当に終わるとこまで。キラキラしたとこから徐々に変質し反転するとこまで。キラキラ部分が本当によくある感じにキラキラしていて、だからこそイタい。分かるんだけど。はからずも、この『ニキの屈辱』はプロ写真家のお話、このすぐ前に読んだ『寝ても覚めても』は趣味写真家のお話でした。どちらも、文章による情景の捉え方にそこが意識されてる感じがする。

  • 久米ひろみ『中国人の使う中国語 使わない中国語 疑似体験中文生活』(株式会社シルクファミリィ UTAブック,2011年9月/親本:株式会社かんぽうサービス,2006年4月)
    かつて株式会社かんぽう(政府刊行物大阪サービスステーション)から出ていたものの無料電子書籍版。PDFをKindleに入れて読んだ。地の文がすべて大阪弁で書かれているので最初は戸惑ったが次第に慣れた。語学テキストというより、ちょっとした表現紹介を交えた、本音と臨場感たっぷりの中国生活体験記。



  • 柘植文『なんちゃってヨメ入り修行』(幻冬舎文庫,2011年8月/親本:竹書房,2006年7月『ノンストップおヨメ道』)
    ヨメ入り修行と言いつつ敏腕編集者の暴走でどんどん明後日の方向に突き進んでいくのが楽しいコミックエッセイ。世の中にはさまざまな習い事があるのだなあ。

  • 大野裕+細川貂々『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(朝日新聞出版,2011年3月)
    もともとの「ツレうつ」シリーズが主観的な体験談メインだったのに対し、改めて全般的情報をかみ砕いて説明。しかし本当に、こういうのは千差万別で対処が難しいのだなということばかりが胸に迫る。
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2011年10月の読んだものリスト
いつも時間が経つのは速いなあとか思っているくせに、月末にこうやって読了記録を見ていると、月初に読んだ本についての記憶が、ずいぶん前のもののような感覚もあって、じつは1ヶ月って、長いのかもしれないという気になってきます。


  • 駒崎優『扇舞う 2』(幻狼ファンタジアノベルス,2011年9月)
    はっきりと成長した主人公に、家臣と一緒にほろりときた。奪われた城を取り戻すという当初の目的のさらに先を見据えた課題ができてしまったけれど、さてどうするのか。次の巻で完結ということで、期待とともに一抹の寂しさも。

  • 畠中恵『ちんぷんかんぷん』(新潮文庫,2009年12月/親本:2007年6月)
    主人公の性格もあって一見穏やかな作中の空気の中にも、人間の欲や執着がどろりと、そして容赦のない時間の流れや自分の一存ではどうにもならない世のことわりへの哀しみがじんわりとにじみ出てくる感じに胸を衝かれる。

  • 鳥飼玖美子『「英語公用語」は何が問題か』(角川oneテーマ21,2010年11月)
    各論、基本的に同意。でも読後強く印象に残ったのは、この著者は英語が大好きなんだなってこと。だからこそ、英語がビジネス上のグローバル化という狭い枠組みの中でのみ語られるのが悔しいのだなって。

  • 畠中恵『いっちばん』(新潮文庫,2010年12月/親本:2008年7月)
    これまでは情熱と努力に実力がついてこなくても前向きだった栄吉が、ついにどん底まで落ち込んでまた這い上がるビターな展開の「餡子は甘いか」が、身につまされる。若だんなも、初期と比べるとだんだん大人びてきている。

  • 桂望実『ハタラクオトメ』(幻冬舎,2011年3月)
    会社のやってることを俯瞰的に見て面白さに目覚めるというのは共感できるんだけど、一方でそれが、上の思いつきでプロジェクトを与えてもらうことによって初めて実現されるというとこで「ふーん」って感じもする。主人公はナチュラルに他人を立てて懐に入ってしまう、器のでかい人ではあるんだが、本心でその立ち位置に満足してる? 歳喰ってもずっとそのキャラでいける? ともどかしいことも。私の心が黒いせいかしら。でもやっぱり主人公たちのがんばりでものごとがうまくいくと爽快感はあるんだよね。

  • 佐藤多佳子『第二音楽室 School and Music』(文藝春秋,2010年11月)
    5月に読んだ『聖夜 School and Music』の姉妹編(こっちが先)。小5から高1までの少女が主人公の、学校と音楽にまつわる短編4つ。誰かと音を合わせていくときの感覚がよみがえる。個人的経験とダブるリコーダー・アンサンブルの話が楽しかった。しかしどの作品も甘酸っぱいですのう!

  • 畠中恵+柴田ゆう『しゃばけ読本』(新潮文庫,2010年12月/親本:2007年11月『しゃばけ読本』・2006年11月『みぃつけた』)
    キャラ紹介はカラーイラスト入りだし、頭の中でごっちゃになりがちだった短編タイトルも、内容やどの本に収録されてるかがおさらいできるし、ほかにもいろいろ盛りだくさんで楽しい。

  • 田中聡『江戸の妖怪事件簿』(集英社新書,2007年6月)
    化物の存在がすんなり受け入れられてたり、幽霊話に対して否定的な立場の「合理的」な人が狐狸による術は信じていたり。ゴシップのありようは今とさほど違わなかったり。紹介されるさまざまなエピソードが興味深い。『しゃばけ読本』収録の対談で、畠中さんが“江戸時代の人々は「妖怪は存在する」と強く信じていた”ことが資料で分かるというお話をされているんだけど、本書でその実例を挙げてもらった感じで、続けて読めてタイミングよかった。「くだぎつね」の話も出てきます。

  • 勝山実『安心ひきこもりライフ』(太田出版,2011年8月)
    なにこれ名言の宝庫! ページの上でミシンとコウモリ傘が出会っているうえになぜかトッピングされる目からウロコの「あるある」感。ひきこもり知識が必要でない人も、疾走する比喩表現を味わうために読むといいよ。

  • 佐野洋子『そうはいかない』(小学館,2010年12月)
    フィクションと、断片的に知っている著者自身の人生との境界がぼやけてくる感じの短編がたくさん。すごく激しい感情と、それを捉える醒めた視線の両方を、作品のなかに閉じ込めることができる人だったんだな、と思う。

  • 伊藤理佐+山本文緒『ひとり上手な結婚』(講談社,2010年8月)
    相談者からのお悩みにふたりが答える形式だけど、『再婚生活』や『おんなの窓』など、ほかの著書で垣間見えていたおふたりの結婚生活へのスタンスがよく分かって興味深かった。お幸せそうでなによりです。

  • 皆川博子『開かせていただき光栄です ―DILATED TO MEET YOU―』(早川書房,2011年7月)
    この著者の本15年ぶりくらいに読んだんですが、脳内イメージよりずっとエンターテインメント性のある筆致で嬉しい驚き。それぞれのキャラが活き活きしてて、ペダンティックで軽妙で、だけどどこか哀しい。皆川博子さんって1930年生まれなのね。貫禄あるのに若々しいなあ、作風が。


  • ゆうきまさみ『鉄腕バーディー EVOLUTION』第9巻(小学館,2011年10月)
    なかなか脱出できずもどかしいが、後半の戦闘シーンが豪快で血が騒ぐ。無表情キャラのネーチュラーにまでそんな切ない過去が判明したら、もう誰を一番応援したらいいのか分かりません。

  • 中村光『聖☆おにいさん』第7巻(講談社,2011年10月)
    ゼウスさんとこはわりと人間回ノリ……ですよねー。PV観てみたいー! しかしカミサマ系のネタより今回は、どっちかというと日常系のネタ(同窓会とかレンタル屋さんとか)がツボでした。あとマリアさまかわいい。
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2011年9月の読んだものリスト
8月の読了リストを出さずに放置してたので、本日一緒に公開しました。よろしく。


  • Robert J. Sawyer "Identity Theft And Other Stories" (Red Deer Press, 2008年)
    各短編についてる解題を読むと、ソウヤーって自分大好きなんだねと微笑ましい。火星のハードボイルド探偵シリーズはもっと読みたい。

  • 森博嗣『科学的とはどういう意味か』(幻冬舎新書,2011年6月)
    この著者の小説以外の本を読んだのは初めて。小説からは分かる人だけ分かればという突き放したスタンスを感じていたので、強い使命感に基づきものすごくかみ砕いた懇切丁寧で親切な書きように少し驚いた。

  • 妹尾ゆふ子『翼の帰る処 3 歌われぬ約束』下巻(幻狼ファンタジアノベルス,2011年8月)
    1年前に出てた上巻は先月読んだ。皇女とヤエトの関係って新鮮、といつも思う。年齢差と立場と信頼関係のありかた。あとヤエト先生の、すごく頼られてると同時に皆が過保護になっちゃう人物造形にやたら説得力があるなあ、と改めて。

  • 畠中恵『ねこのばば』(新潮文庫,2006年12月/親本:2004年7月)
    「産土」の、違和感を覚え始めたちょうどよいところでさらっと種明かしがされるタイミングが好きでした。「たまやたまや」、サザエさん方式かと思いきや、この作中世界でも時は流れていくんだなあと。

  • 佐野洋子『死ぬ気まんまん』(光文社,2011年6月)
    佐野さんの文体がとても好きだったので、亡くなったあとに出たこれは前から読みたかったが、さすがに病院内でこの表紙を見せてたら顰蹙だろ、と思って退院するまで自重していた。個人的には「死」との付き合い方は人それぞれでいい(他人に批判される筋合いない)と思うけど、佐野さんの断定的で排他的で迫力ある語り口には無邪気ささえ感じて、かわいらしいな、気持ちいいなと思う。

  • 平松洋子『サンドウィッチは銀座で』(画:谷口ジロー/文藝春秋,2011年1月)
    毎回テーマを決めての食べ歩きエッセイ集。とても描写が鮮明で楽しそうだし美味しそうなのだが、食欲が湧くというよりよりむしろ、読んでるだけで食べた気になってしまって満腹に。一気には読めないこってり感。

  • 畠中恵『おまけのこ』(新潮文庫,2007年12月/親本:2005年8月)
    表題作の鳴家のかわいさに身悶え。病弱な若だんなは自分のことを世間知らずの役立たずだと思っているけど、実はいろいろ深いとこまで見えちゃっててある意味「おとな」だよな、というのがさりげなく読者には伝わるところが好き。

  • 畠中恵『うそうそ』(新潮文庫,2008年12月/親本:2006年5月)
    第一作以来の長編、そしてあの病弱若だんなが(湯治だけど)旅行に! それぞれの信じる道が対立するとき、非力を自覚する若だんなだけが、突っ走らない俯瞰的な視点を持てるわけで、本当は少なくとも「無力」じゃないんだよね。

  • 駒崎優『扇舞う 1』(幻狼ファンタジアノベルス,2009年6月)
    時代考証は押さえつつ架空の設定に基づく戦国時代もの。詳しい人ならその作り込みにも感動できるのかも。疎いのでただただ雰囲気のもっともらしさを楽しみ、健気な少年当主を応援し、周囲の大人たちの知略にどきどきするのみ。


  • 高津カリノ『WORKING!!』第10巻(スクウェア・エニックス,2011年9月)
    しょっぱなから伊波さんと小鳥遊くんでにやにやするけど、山田さんがかつてなく注目されてるのが印象的な巻でもある。そして地味にさりげなく気がつけば相馬さんがけっこう好きなキャラになっていた。

  • よしながふみ『きのう何食べた?』第5巻(講談社,2011年9月)
    手間暇かかる一品を出す日は疲れてほかのおかずはカンタンに、とか献立の組み合わせが本当にリアルで、それでいいんだよね、と肩の力が抜けた。筧先生を評したフレーズ「オバチャン入ってる」にうけた。


結局、7月後半から9月上旬にかけて断続的に合計33日間入院していましたが、いまは元気です。退院してきたのは『科学的とはどういう意味か』を読み終わったあたり。8月・9月と別々のカウントになっちゃったけど、ソウヤーの短編集2冊はほかの本と同時進行で少しずつ読んでいたので、なんだか記憶のなかでは「病院にいるあいだずっとソウヤーを読んでいた」みたいな認識になっています。
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