Debbie Macomber "Summer on Blossom Street"

シアトルの毛糸屋さんを舞台としたシリーズ……えーと、たぶん4作目。

今年の夏から、邦訳も日本のミラ文庫から刊行され始めて、すでに3巻まで出ているようなので、興味があってロマンス小説レーベルに抵抗のないかたは、「デビー・マッコーマー」で検索してみてください。なんかね、原題の淡々としたシンプルさとは裏腹に、とってもリリカルな(←最初に思いついたのは別の形容だったけど敢えてこう言ってみた)邦題になってますよ。日本語版で出会っていたら、たぶん手に取れなかった(笑)。

店長リディアが決めた今回の編み物教室テーマは、"Knit to Quit"――何かをやめるための編み物です。韻を踏んでて語呂のいい講座名。また、青春時代を難病との闘いに費やし、治療の辛さや死への恐怖を、編み物に没頭することで紛わせ乗り越えてきた、リディアらしい発想かもしれません。

レギュラーキャラとなったアリックスは、前作 "Back on Blossom Street" での問題山積みな結婚式準備のイライラにより復活してしまっていた喫煙習慣を、すっぱり断ち切って妊娠に備えたい。

フィービーは、自分を裏切った元婚約者のことを考え続けてしまうのをやめたい。でも傷つきすぎている彼女は教室では事実を口に出せなくて、婚約者を結婚式直前に亡くしたと嘘をついてしまっています。

初の男性参加者ブライアンは、父から引き継いだ会社の経営や訴訟問題で頭をいっぱいにしているうち、身体に影響が出るほどのストレスを溜めてしまい、親しい医師に編み物で気分転換してはどうかと勧められた。

さらに、同じブロッサム・ストリートで書店を営むアン・マリーは、紆余曲折の末にようやく正式に養子縁組できた9歳の娘エレンとの生活を楽しんでいたが、「エレンの本当の親」だという人物からの突然のコンタクトに心乱される。(どうやらこのアン・マリーは、同じ著者の別作品 "Twenty Wishes" の主人公みたいです。先に始まったこのシリーズが本流で、あっちはスピンアウトということになるのかな?)

そして過去の病気のせいで自分の子を産むことができないリディアは、新生児を養子として引き取ることを希望するが、アン・マリーから紹介されたソーシャルワーカーに押し切られて、いきなり反抗的な12歳の少女ケイシーを預かることになってしまう。

いつものように、1章ごとに視点を切り替えながら、登場人物たちの友情や家族、恋愛の問題が語られていきます。

第1作でのメインキャラのうち、私はアリックスがいちばん好きだったんですが、彼女だけが最新作に至るまでずっと編み物教室に参加し続けているということは、著者もアリックスが好きで、ほかの読者にもアリックスが人気だったんでしょうね。

今回、あらためて「アメリカだなー」と思ったのは、血のつながらない、互いの意志の力のみによって維持されている親子関係が、まったく特別でもなんでもない、とても自然なこととして、あちらでもこちらでも出てきたことでした。そういえば、1巻目のときから、そういう要素はあったわけなんだけど。

そもそも、主人公のリディアだって、夫はバツイチ連れ子つきで、その連れ子のコーディとリディアは、ふたりが結婚する前から、互いにうまいこと歩み寄りできていて。

現実には、こんなふうに上手くいくとはかぎらないのは分かってる。でも、上手くいかないと決めつけるもんでもないよね? フィクションの世界くらいは、ハッピーエンドで。そしてできれば、フィクションじゃなくても。

さて、すでにくっついてしまってるひとたちはともかく、新たに登場してくる独身女性たちの恋愛模様については、前の巻あたりから、一部あからさまにハーレクイン入ってきたような気がしています(笑)。ものすごい偶然の一致があったり、変にスケールでかかったり、ヒーローが御曹司だったり。いや、本家本元のハーレクインをきちんと読んだことないんでよくは知らないんだけど、なんとなくのイメージで。まあでもMiraっていう出版社も、(私は「舞台がシアトルだー!」というだけで、よく知らずに手を出してしまったけど)母体はハーレクインと同じなんですよね? 少しずつゴージャスさを増しているのも、本国の読者需要を考えてのことなのかも。


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