相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』

第19回鮎川哲也賞受賞作。また、昨年末から今年の頭にかけて投票が行われていた「twitterユーザーが選んだ東京創元社の本2009」という企画では第2位に入りました。

おっとり系男子高校生・須川くんの一人称視点で、マジックが特技のミステリアスな女子クラスメート酉乃さんが、学校内で起こるさまざまな不思議を解き明かしていくのを描いた連作短編集。ヒロインがセミプロのマジシャンということで、ほかの子たちにない発想で謎解きができることにも説得力が生まれています。

ここで取り上げられているのは、真相が分からなければ分からないで別に困らないけど、気づくとどうしても気になってしまう、いわゆる「日常の謎」的ミステリー。たとえば、1冊だけを除いてすべての本が逆向きにされた図書館の書架だったり、机に刻み込まれた謎の文字だったり、はたまたテスト結果が出る前から高得点者名とそれぞれの点数が記された状態で、鍵のかかった落し物ケース内に放置されていたと思われる手帳だったり。そして全篇を通じて、前年に自殺した女子生徒の幽霊の噂が漂います。

視点人物である須川くんは、あだなが「ポチ」なだけあって人のいい素直な子で、酉乃さんが繰り出すダジャレにも気づいてあげられないおニブさんですが(指先の淡いマニキュアはしっかりチェックしていたりするくせにね!)、周囲を取り巻く女子たちは、みんなそれぞれ、心の奥底に複雑なものを抱えています。

それはトランプを操る手先の華麗さとは裏腹に、人間関係の構築の仕方が非常に不器用な酉乃さんも、例外ではありません。そして最初はそれが分からないながらも、少しずつ彼女の内面を垣間見るようになっていく須川くん。王道ですよね! 少女マンガで読んだらすごくハマると思うんだけどなあ、この話!

酉乃さんに惚れている須川くんの一人称で綴られる本書の地の文には、彼女の可愛さ美しさ清楚さ繊細さ神秘性が微に入り細にわたり繰り返し熱烈に描写されていて、正直もう「はいはい、分かった分かった(笑)」と肩をぽんぽん叩いてあげたくなる感じなので、マンガ化するなら彼女の美少女っぷりをばーんと初登場のコマを一目見ただけで理解できる絵柄のひとにお願いしたい。あ、もう一人タイプの違う美少女が登場するので、その辺の描きわけもすごく重要。
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