中村のん『社長、その服装では説得力ゼロです』

著者は、CM、広告等で活躍するベテランのスタイリスト。けれども本書は、決して最新ファッションで身を固める(あるいは、固めたい)読者のためのものではありません。

「着る人」に「着られるもの」が及ぼす精神的影響、身につけるものによって左右される他者からの印象の問題が、長年の経験から具体例を挙げつつ包括して語られます。

人は見た目じゃないとは言うけれど、「内面」はけっこう「身なり」に出てしまう、あるいはそう評価されてしまうもの。だとしたら、いままで無頓着だったひとも、もうちょっと意識的・戦略的にお洋服を選んでみてもいいのでは? みたいなことを、必ずしもファッショナブルであることが重要なわけではなく、むしろ人によっては、敢えて流行に乗らないキャラとしてやっていくことが得策であったりもする、ということも踏まえて、やんわりとした口調で指摘してくれます。

その場その場に適していて、かつ自分に似合っていると自信を持って言えるような洋服選びは、なかなかに難しいものですが、自分の強みも弱みもちゃんと理解して、それをいつも楽しんでやれるひとというのは、本当に憧れます。私など、いつも「もうこれでいいや(投げやり)」と「この服が好き!(自己満足)」のあいだを揺れ動きがち。

客観的にはすごく似合っているのに、本人の自意識の問題で着られない服がある、みたいな話も、すごく分かるなあと思いました。

はたまた、自分の服を選ぶときにもプロの目で、服売り場の店員さんのいい加減なセールストークなど蹴散らす勢いで、自分に合うと確信できる服だけを購入している著者だけど、いつも素足や黒のタイツで保育園の送り迎えをしていたら息子さんに「みんなのお母さんみたいに、こんど、とうめいのくつした(すなわちストッキング)はいて」とお願いされちゃう微笑ましいエピソードや、韓国へ旅行して、まったく若々しさなど眼中にないファッションの同年代マダムたちに囲まれたら、貫録負けして気後れしてきた、というエピソードなどは、なんだか新鮮で面白かった。
0

    コメント
    コメントする








       
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック

    calendar

    S M T W T F S
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930    
    << June 2020 >>

    ここはなに?

    ウェブサイト「虫の居所」の一部です。
    管理人ならのが、そのときどきに考えたことや興味を引かれたもの、読んだものなどについて、心のおもむくままに、だらだらと綴るところです。心がおもむかないときは、更新停止しています。

    links

    最近の日々

    カテゴリ―別の日々

    これまでの日々

    コメントされた日々

    • 2016年3月に読んだものメモ
      ならの
    • 2016年3月に読んだものメモ
      かえる 改め きと
    • 2014年1月〜2月に読んだものメモ
      ならの
    • 2014年1月〜2月に読んだものメモ
      かえる
    • 2013年8月に読んだものメモ
      ならの
    • 2013年8月に読んだものメモ
      かえる
    • 2013年4月に読んだものメモ
      ならの
    • 2013年4月に読んだものメモ
      walkman
    • 2年が経ちましたね
      ならの
    • 2年が経ちましたね
      To-ko

    トラックバックされた日々

    日々の検索

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM