香山リカ『しがみつかない死に方』

サブタイトルは「孤独死時代を豊かに生きるヒント」。

以前読んだ益田ミリの『言えないコトバ』でも定義があいまいな表現として取り上げられていた(本書でも引用されています)「孤独死」という言葉が含む範囲を、一人暮らしのひとが誰にも看取られず亡くなったあとに発見される死、と規定して、そういった最期を迎えるかもしれないという危機感を抱いているひとに向けて書いた本。

生きてるあいだにやっておけること、考えておくべきこと、そしてあまり思いつめず構えておくための心の持ちようまで、いろいろ広く浅く、という感じ。

個人的には、精神バランスを崩して病院に行くほど「孤独死を恐れる」ひとがいるという事実に軽い衝撃を受けました。私は若い頃はずっと、最終的には森茉莉みたいなお婆さんになって誰にもその瞬間を目撃されることなく(他人から見ればゴミだらけの)好きなものに囲まれた部屋で亡くなるのが理想だなーという気持ちが強かったので。というか、本音ではいまでもちょっとそう思っていたんですが、本書を読んで、そういう死に方はけっこうメイワクなんだな、と改めて認識して反省しました。

自分の好きなように生きて死んでそれでもなお苦笑くらいで済まされたければ、森茉莉くらい非凡なひとでなければいけないんだなー。私は凡人なので、やはり老後一人暮らしになったら最低限のことは考えておいたほうがよさそうです。

ところで。この本を読むことにしたのは、本書のなかで、ライター島村麻里さんの最期のようすと、有志でおこなわれた「お別れ会」の詳細が述べられているということを知ったからでした。

自分のブログを読み返してみたところ、島村さんの本を初めて読んだのは2007年3月のことで、だからそんなに年季の入ったファンというわけではなかったのですが、私は島村さんがお書きになるものがとてもとても好きでした。だから、2008年の夏に51歳の若さで亡くなったと知ったときは、ものすごくショックだった。これからもいろんな作品を読めると信じ込んでいたのに。

けれども本書で、島村さんがいかに周囲のひとたちに慕われていたか、そして彼女のことを思うひとたちがどれほど心を砕いて、彼女にふさわしい個性的でじめじめ感のない「お別れ会」を開いたかを、知ることができました。

島村さんご自身が、「誰にも看取られず一人暮らしの部屋で亡くなる」ということについて、どんなご意見を持っておられたかは、分かりません。でも、ファンとして、島村さんと親しく交流しておられた香山先生の視点による文章が読めて、心が凪いでゆく感覚がありました。
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