2011年1月の読んだものリスト

いちおう、2011年になって初めての更新なので、いまさらですが、本年もよろしくお願い申し上げます、と書いてみる。いや、こんな言い方してますけど、本気でよろしくお願いしたく思っています。

とにかく、今月読んだものは以下のような感じ。雑誌『考える人』2010年秋号で特集が組まれていたのをきっかけに、子供のころ大好きだった「ドリトル先生」シリーズを再読し始めました。いつもなら、持ってるはずの本がどこにあるのか分からなーい! と叫んでいるのですが、奇跡的に、30年前に読んでたシリーズ一式を発掘できたよ。さすがにちょっとページの色が黄ばんでいるけど(笑)。


  • 有坂正三(編訳)『狄仁傑の不思議な事件簿 簡約版・「狄公案」』(文芸社,2007年12月)
    中国唐時代の実在のお役人の活躍を描いた清時代末期の公案小説『狄公案』簡約版。探偵小説風に始まって次第に政治上のかけひき話に。今の価値観で読むとみんな拷問や斬首にためらいがなく相当怖い。

  • 酒井順子『ズルい言葉』(角川春樹事務所,2010年7月)
    紋切型の言葉の便利さ、思考停止、そして曖昧化による責任回避などなどに対する細かいツッコミに頷いたり感心したり、心の中でツッコミ返ししたり。するする読ませるのはやはり上手いんだと思う。

  • 楊逸『おいしい中国 「酸甜苦辣」の大陸』(文藝春秋,2010年10月)
    子供の頃の食べ物に関する淡々とした思い出語りを通じて、ある一般家庭が文化大革命によって翻弄されるようすが浮かび上がる。世界史の受験勉強でのみ知っていた言葉がにわかにリアリティを帯びてくる。楊逸さんは1987年に来日したかたで、端正な日本語をお書きになるんだけど、たまにあれ? と引っかかる記述があって、それが意図的なものなのかどうかがよく分からない。でもその引っかかりによって、つるつると右から左へ読み流してしまうことが阻止されているような気もする。

  • 『オタクの逝き方 オレのコレクション死んだらどうなる?』(BUILTRUNS,2010年11月)
    人目に触れさせたくないものの処理、高額コレクションをゴミ扱いさせないための心得、ネット上にある自分のデータ(オンライン銀行など含む)の扱い、遺書に書いておくべきことなど、オタクじゃないひとにも実用的。

  • 万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(ちくまプリマー新書,2010年1月)
    猫視点も人間の子供視点も、妙に説得力があって鮮やかで、作者の憑依力に感心。マドレーヌ夫人と玄三郎の夫婦としてのただずまいがすごく好き。終盤の「マドレーヌ!」のところで涙が出てびっくり。

  • 米澤穂信『折れた竜骨』(東京創元社,2010年11月)
    世界設定はFTだが完全にミステリ文法。無駄なパズルピースがないこと前提で読むとわりと早いうちに犯人だけは絞り込めてしまったが、面白さを損なうものではない。隅々まで行き届いた緻密さが素敵。キャラもみんな好き。

  • Jerome K. Jerome "Idle Thoughts of an Idle Fellow" (1886)
    コミカルなエッセイ集。文章のテンポが好き。皮肉っぽい筆致だけど基本は自分がボケ役。根は凄いロマンティストだと思う。もう私の脳内では生き生きとしすぎてて19世紀生まれの人だということを忘れそうだ。

  • 中野翠『おみごと手帖』(毎日新聞社,2010年12月)
    2009年の時事ネタ。一時期あんまりピンと来なくなってたんだけど、最近は私自身の見方とは違っていても彼女が自分の直感を決して外部からの理屈などでごまかさないということそのものに共感し、憧れる。

  • ヒュー・ロフティング『ドリトル先生アフリカゆき』(訳:井伏鱒二/岩波少年文庫,1951年・1978年改版/原書:Hugh Lofting "The Story of Dr. Dolittle" 1920)
  • ヒュー・ロフティング『ドリトル先生航海記』(訳:井伏鱒二/岩波少年文庫,1960年・1978年改版/原書:Hugh Lofting "The Voyages of Dr. Dolittle" 1922)
  • ヒュー・ロフティング『ドリトル先生の郵便局』(訳:井伏鱒二/岩波少年文庫,1952年・1978年改版/原書:Hugh Lofting "Dr. Dolittle's Post Office" 1923)
    30年ぶりくらいに再読してみたら、私が子供の頃に理想としていた大人の姿が、そこにあった。年下だったり世間的基準で見てステータスが自分より下だったりする者にも決して偉そうにせず、いつも誠実で、強いけど平和主義で、自分の仕事と思い定めたことには手を抜かないドリトル先生。私のいまの価値観の一部はたぶん、ドリトル先生にものすごく影響を受けているな、ということがしみじみと感じられた。ただ……いったん興味を引かれるものを見つけると調べ物のために部屋が散らかってても気にしなーい! とか、そういうところまでは影響されなくてよかった気もしないでもない。ときどき、パソコン周りがすごいことになっているんだ……ダブダブ(ドリトル家で主婦やってるアヒル)がいたら「グワァーッ」と威嚇されそうなレベル。



ちょっと、ブログの方向性を考えたいモードに入っています。たいがい、こういうときはしばらくぐるぐる悩んだあと、結論が出ないまま「あー、もういいや!」と、もとに戻ってしまうのですが。
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    コメント
    記事に対するコメントも遅すぎですが、今年もよろしくです。
    月イチ更新でもどんな形でも、この場所はぜひぜひ続けて欲しいなあ〜。ならのさんの読書をかなり追っかけさせてもらってるし、感想が同じでも違っても、ふむふむと面白いんですもん。
    ドリトル先生、私も子供の頃の愛読書でした。しばらく前から読み返したいと思ってるんですが、ウチのは人に貸したまま返ってこなくなっちゃってるんですよねー(どうも無くしちゃったらしい)。買い直そうかとときどき古本屋で探したりもしています(^^;
    • To-ko
    • 2011/02/09 10:44 PM
    こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします。
    このブログそのものは、ぽつりぽつりとした更新具合でも、残していくつもりでいますよ。私も自分の読書記録つけておきたいし(笑)。

    本当はもうちょっと、まともな更新もできればいいんですけど……。
    いつも見に来てくださってありがとうございます。

    ドリトル先生、To-koさんも愛読していらっしゃいましたか。
    井伏鱒二さんの訳もいいですよね。いま読むといろいろ古い言い回しも入っていて「現代の子供たちに通じるんだろうか?」と思ったりもしますが、自分自身はこれが子供の頃に馴染んだ文章なので、やっぱりこれがしっくりきます。
    • ならの
    • 2011/02/10 10:45 PM
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