2013年8月に読んだものメモ
category : 読了リスト
- Robert J. Sawyer "Red Planet Blues [Kindle Edition]" (Gollancz, 2013年5月/ハードカバー:2013年3月)
火星に建設されたドームで人間が暮らせるようになり富裕層が人造の身体を得て不老不死をほぼ実現した未来世界を舞台に、しがない私立探偵業を営む主人公(生身)の一人称で。最初の4分の1くらいは、前に出た短編 "Identity Theft" の焼き直し。短編版での大団円からさらに物語が転がっていく。火星生活のディテール、具体的に設定が練られていて面白い。そしてそのSF世界に重なる全体のトーンはすごく意図的に20世紀ハードボイルド探偵小説な感じにしてあるところがミソ。〔ハードカバー版〕
- Cassandra Clare, Sarah Rees Brennan "The Midnight Heir (The Bane Chronicles) [Kindle Edition]" (Margaret K. McElderry Books, 2013年7月)
今年の4月から少しずつ出てる、既存シリーズ2つに共通の人気キャラが主役のスピンオフ連作短編のうち4作目。The Infernal Devices三部作メインキャラたちの息子(秘密を抱えて苦悩中らしい反抗期)がお目見え。三部作のあの彼らのその後も垣間見える。今後の新シリーズへの布石という雰囲気。短編すべてまとめたバージョンが来年9月に出るらしいので、残りの作品はそっちで購入予定。
- ピーター・ディキンスン『生ける屍』(訳:神鳥統夫/ちくま文庫,2013年6月/親本:サンリオSF文庫,1981年11月/原書:Peter Dickinson "Walking Dead" 1977)
真面目で地味な研究者が、わけ分からんうちに上からの圧力と状況に流されるなか可能なかぎり誠実にあろうとした結果、地味なままもとの自分の常識から逸脱していく。その「わけ分からん」感じの描写が絶妙。ピーター・ディキンスン、初めて読んだ。これまで「ロビン・マッキンリイのご夫君」という認識しかしてなかったけど、たぶんそのうちほかの作品も読んでみる。
- 朝比奈あすか『憧れの女の子』(双葉社,2013年2月)
短編集。それぞれに、ああ、こういう人いそういそうという苦笑と、気持ちというのは制御しがたく噛みあわせがたいものだなというやるせなさと、それでも時間と共に人生は進むよねという納得の気持ちが湧いてきた。
- アレックス・アーバイン『パシフィック・リム』(訳:富永和子/角川文庫,2013年7月/原書:Alex Irvine "Pacific Rim: The Official Movie Novelization" Titan Books, 2013年7月)
映画を観に行ったときパンフレット売り切れだったのでノベライズ買いました。ストーリーラインは映画と同じだけど、映像では語られなかった細かい設定がいろいろ出てきて面白かった。
- 安田峰俊『和僑 農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人』(角川書店,2012年12月)
中国に住む日本人を取材。わりとアンダーグラウンド寄りの人選。終盤、あらゆるタイプの日本人社会の中に「古めかしい」日本が存在したという指摘が興味深く、そこまでの記述を読んだあとだと一理あるようにも思わされるものだった。
毎月楽しみにしてます。コメント残さずスミマセン。
いつも次に読む本を選ぶ時の参考にさせていただいてます(^^)
「パシフィック・リム」に原作本があるのですね。
映画を観てきたばかりで、思いがけず面白かったので(ロボットアニメ世代だからでしょうか・・・本国ではあまり評判よくなかったみたいですね)かなり気になります。
見ててくださってありがとうございます。
パシフィック・リム、要するに「ロボットvs怪獣」って
それだけなんですけど、面白かったですよね。
DVDを待たずスクリーンで観てよかったです。
あれは自宅の小さい画面じゃ満喫できない。
小説版は、「原作」というより、先に映画企画ありきで、
それに沿って書かれたものじゃないかな。
でも本編で説明されてなかった各キャラクターの
経歴とか背景とか分かって楽しかったです。
「森マコさんのご両親ってそういう人たち
という設定だったの!」とか。