虫のいい日々

あぶはち取らずと言われても、極楽とんぼで過ごしたい。
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2014年8月に読んだものメモ
何度か書いていますが、実際の発売日ではなく奥付記載の出版年月を記録しているので、今月も一部が未来(2014年9月)になっています。


  • 水島広子『整理整頓 女子の人間関係』(サンクチュアリ出版,2014年4月)
    本書で「女」とカッコ付きで言われるような面が自分のなかにないとはまったく思わないのだけれど、あまりここに出てくるような事例では悩んでないかなあ。って、よく考えたら私の場合、性別によらず人間関係全般が希薄でした(自爆)。しかし今後の参考になるかもしれないので、こんなにうまく行くかどうか分からないけど読み取ったアドバイスは心の片隅にとどめておこう。いわゆる「女の嫌なところ」だの「女の敵は女」だのとステロタイプ化されて言われるような要素が、本質的なものではなく社会的にもたらされているという分析は、思い当たるふしがあったし面白かった。そこを自覚したうえで連帯に持ち込めるといいよね。

  • 相沢沙呼『雨の降る日は学校に行かない』(集英社,2014年3月)
    中学校の教室の中で多数派にすんなりと馴染めずにいる女の子が真摯にもがくお話が6つ。どれも、とても息苦しく胸に迫る。同じようにもがいている子たちがきっといまも現実世界のあちこちに存在するけど、みんながこの本のなかでのように、ささやかでもなんらかのかたちで突破口への方角を見出せますように、みんなにそんなとっかかりを与えてくれる出会いがありますように……と、いつのまにか祈るような気持ちで読んでいました。

  • 米澤穂信『満願』(新潮社,2014年3月)
    第27回(2014年)山本周五郎賞受賞、第151回(2014年上半期)直木賞候補。謎解きパズルのピースがきちんと嵌っていく安心感と、人間の心の弱い部分が衝かれて暴き出され密やかで個人的な悲劇に進んでいく不安感とが、反響し合っているような読後感。6つの短編のどれもが、精巧に練り上げられている。「粒ぞろい」という言葉が浮かんだ。

  • 小山田浩子『穴』(新潮社,2014年1月)
    表題作は第150回(2013年下半期)芥川賞受賞。夫の転勤に伴い退職して田舎に引越し夫実家の隣の家でお嫁さんとして暮らす「あるある」な閉塞感のなかに、突如としてするりと入ってくる不条理そして世界のずれ。主人公が違和感を覚えつつもあまりに淡々としているのが面白い。一緒に収録されている「いたちなく」「ゆきの宿」は、平穏で和やかな夫婦の日々なのになぜかなにか不穏なものを感じてどきどき。これ『工場』に入ってた「ディスカス忌」の続きですよね(熱帯魚が出てくるまで忘れてたけど)。この「僕」と「斉木君」のお話はこれからも書かれるのかな。

  • Jerome K. Jerome "Idle Ideas in 1905"(Amazon Services International, Inc./底本:Hurst and Blackett, 1905年)
    随筆シリーズ第3弾。20世紀に入ったぞ! とはいえ、それでも100年以上前だからね、いま出版されてたらポリティカルコレクトネスの観点から速攻でクレーム付いたんだろうなって記述も目につくけど、まあそこはスルーで。100年以上前のおじさんがパーティで初対面の人とスマートに会話できないことを切々と語ったり、文科系人間として脳筋スポーツマンへの皮肉(とコンプレックス?)を炸裂させたりしているのを見ると、「ああ、うん……」みたいな気分になるのだがそこがよい。ワーグナーの歌劇にツッコミ入れまくる章も好きでした。彼にとっては「現代音楽」の範疇なんだよなあ(ワーグナー没時に著者23歳)。

  • 横山悠太『我輩ハ猫ニナル』(講談社,2014年7月)
    第151回(2014年上半期)芥川賞候補作。中国語特有の漢字熟語に日本語ルビを振る方式は、漫画のセリフなどでは常套手段なのですが、小説で丸々1冊やりとおしたところが斬新だったのかな。中国語学習者としては楽しいと言えば楽しい(ただし前書きでは「日本語を学ぶ中国人を読者に想定」となってた)。終盤の急激な展開は著者としてはしてやったりなのでしょうけれど、個人的には中盤のノリのまま、日本人と中国人のあいだに生まれ、どちらの国にも帰属感のない主人公のリアルなぐだぐだをもっと延々と読んでみたかったかも。お父さんの実家にも足を運んでいろいろモヤモヤしてほしかったような。


  • 荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』第12巻(小学館,2014年8月)
    パッと見ただの「とんでもないやつ」に思われちゃいそうな人でも、ちゃんと誰かにとって意味のある存在だということがさりげなく肯定されていて嬉しい。たくさんの登場人物が、八軒くんの周囲でそれぞれ自分の夢を追いつつ他人の夢をも支えるという姿勢をいつのまにか自然に身につけていて、厳しい現実もありつつ、これからを思うとわくわくします。他人の資質を正当に評価して適材適所を見極めることもまた、能力ですよね。その点が八軒くんはすごい。成績優秀者として短期留学させてもらえるという話を、自分も興味持ちつつあっさりほかの子に譲れちゃうところとか。まだ夢を追うだけの立場にある少年少女たちのみで完結せず、大人たちをうまく巻き込めているのも、目的のために視野を広く持ててる感じでたのもしい。

  • 楠本まき『A国生活』(祥伝社,2014年8月)
    2004年から2013年にわたる英国での生活エッセイ漫画。時折、英国以外のヨーロッパの国々への旅行記も。1980年代にものすごく好きだった漫画家さんなのですが、現在、英国で生活してらっしゃるとは知らなかったです。でも作風からなんか納得。繊細な描線は変わらず、でもストーリー漫画作品よりはデフォルメされていてこれはこれで好き。ほんとに個人的な「生活!」の話で、旅行者向けガイドには絶対に書いてない部分が着目されてて楽しい。あと、トマトジュースとウスター(シャー)ソースが二日酔いにいいって言われた話。エラリイ・クイーンの作品でこの組み合わせを酔い覚ましに飲むシーンあるじゃないですか! なんなのエラリイ、英国紳士ぶりっこ!? それともこれは英米共通認識なの!? でも考えたらウスターシャーソースって本来、英国のものだよねえ?(※)

  • 篠原烏童『1/4×1/2(クォート&ハーフ)(R)』第6巻(朝日新聞出版,2013年8月)
    新しい単行本が出てたのに1年以上も気づいてなかった自分を殴りたい。最初のお話のラクシャスとハーフの異例の組み合わせ可愛すぎる。伝えたかったけど伝えられずに終わったことをこんなに真剣に理解しようとしてくれる第三者がいる世界って暖かいな。

  • 今市子『百鬼夜行抄』第23巻(朝日新聞出版,2014年7月)
    律くんが開業したわけでもないのに同世代のあいだで完全に「拝み屋」ポジションになっててご愁傷様な感じ(笑)。苦手キャラの開さんも、この巻ではけっこう真面目にやってるよなーって思ってしまった(やっぱちょっと迷惑だけど)。

  • 杜康潤『孔明たずねて20000キロ 中国トツゲキ見聞録2』(新書館,2014年9月)
    留学期間を終え、いよいよさらに壮絶でディープな旅へ。やはり『三国志』そして孔明と曹操への愛が詰まってる。日中関係の複雑さで居心地の悪い局面に立たされたこともありつつとても前向きな姿勢が印象的。こうありたい。帰国後、母国なのに適応に困難が生じてしまった話なども切実。それにしても出番少ないのに荒川弘先生の存在感すごいわ。あと『百姓貴族』の荒川先生にあのおみやげを渡そうとするなんて杜康先生チャレンジャーだわ(仲良しだなあ)。

  • よしながふみ『きのう何食べた?』第9巻(講談社,2014年8月)
    うおお、筧先生50歳! 登場人物がちゃんと歳を取っていくので、なんか馴染みの知り合いみたいね。1巻の頃から考えると、ずいぶん肩の力抜けてる。育ちきった大人だって、自分にとってなにが大事かを考えて、日々軌道修正していけるのだ。ハッシュドポテト(作中では千切りポテトのパンケーキって扱いでしたが)をハムやチーズ挟んで一緒に一気に焼いちゃうなんて思いつかなかった。やってみる。ポテトグラタンはもう作ってみて簡単で美味しかったです(すみません、先日おじゃがをたくさんいただいたばかりで、いまそれ系レシピに敏感)。

  • よしながふみ『大奥』第11巻(白泉社,2014年9月)
    今回もネットで史実を確認しながら「わーわーわー!」ってなりつつ読了。単なる野心家でない、サイコパス的な人物としての治済の底知れなさの描写が圧巻。断ち切られたかに思えたワクチン開発と普及への流れがぎりぎりつながる兆しは……見えたと思っていいの?




(※)えっと、クイーン作品でトマトジュースにウスターソースを入れたものを飲むシーンは私の記憶内では2箇所。1つは『十日間の不思議』でエラリイが旧友に作ってあげる(タバスコもプラス)。もう1回は『最後の一撃』でエラリイ自身が寝坊した朝、作中で親しくなった女性にアスピリンと共に飲まされる。さらになんか短編にもあったような気がするんだけど、思い出せません。ご存知のかたいらっしゃったら教えてください。
Posted at 13:11 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark
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