虫のいい日々

あぶはち取らずと言われても、極楽とんぼで過ごしたい。
<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
ここはなに?
ウェブサイト「虫の居所」の一部です。
管理人ならのが、そのときどきに考えたことや興味を引かれたもの、読んだものなどについて、心のおもむくままに、だらだらと綴るところです。心がおもむかないときは、更新停止しています。
これまでの日々
コメントされた日々
トラックバックされた日々
MOBILE
qrcode
 
2016年3月に読んだものメモ
  • 深澤真紀『女オンチ。女なのに女の掟(ルール)がわからない』(祥伝社黄金文庫,2016年2月)
     ウェブ連載と巻末の対談は断片的に読んでいた。生活上のこまごまとした不都合など共感できる点も多かったし、自分とは違うところも興味深くて面白かったんだけど、本書で言われる「女子力」とか「女らしさ」がどうも自分には理解できてないと途中から気付き始めた。だから、そこからの逸脱ぶりが語られても「え、それってそもそも女かどうかが関係ある問題だったの!?」みたいになってしまう。もしかしたら私、着るものの好みとか背の低さとかで結果的におそらく第三者から見て深澤さんより女性的な雰囲気になってはいるかもしれないけど、魂の面ではよっぽどオンチなのかも、と考え込んでしまった。反面、女オンチを自称する深澤さんにも実は分かってなくて、僭越ながら言わせてもらうなら、本来なら女かどうかの問題じゃないところまでを「女」の問題に含めてしまっている可能性も……と思わないでもないんだけど。私もオンチ自認なので分かんない!
     えーと、私がいままでイメージしていた「女子力」っていうのは、自分が生きている時代において世間的にフェミニンとされる言動やモノを好むひとが、他人の干渉や「だから女は……」みたいな批判があっても意に介さず、周囲を振り回すことになってでもその路線を突っ走る、見ようによっては暴力的なものだったんだけど、本書で言われる女らしさっていうのは、もっと周囲の視線とのかねあいで決まる、抑制ののすえに発揮される協調的なものって感じ?(すみませんマジでよく分かってないので違うかも。)とにかく、外出先で時間をつぶすための軽い読み物のつもりで購入したのに、1週間以上かけてうんうん悩みながら読んでしまったよ。グイン・サーガを1日で19冊読んだこともあるこの私が!


  • 畠中恵『たぶんねこ』(新潮文庫,2015年12月/親本:2013年7月)
     シリーズ第12弾。若だんなが「大店の跡取り」という共通した立場の青年たちと一緒によその家で寝泊りするという状況が新鮮。仁吉視点のお話では、あやかしとしての年月よりも若だんなとの日々のほうが無意識のなかに染み付いているんだなってとこが感慨深い。

  • 有川浩『だれもが知ってる小さな国 Colobockle Story』(絵:村上勉/講談社,2015年10月)
     佐藤さとるさんの名作児童文学シリーズの、いわば「公認二次創作」。語り手が季節の変わり目ごとに全国を旅していく養蜂家のおうちの子というのには意表を衝かれたけど興味を引くしいろいろと理にかなっている。ただ、もとの『だれも知らない〜』のせいたかさんと違って、本書でコロボックルの「トモダチ」に選ばれるこの子供たちは、最初から囲い込まれ見守られたサラブレッドで、実質、人生選択の余地が与えられていないし、この世には小人たちに守られない、天使のような愛らしさを認められることもない数多の「ミノルさん」がいるんだと考えてしまうのも避けられなくて、少しせつない。もっとも本当は誰にとっても選択の余地なんて限定的なものであって目の前にひらけたいくつかの道のなかのどれかに進むしかないわけで、こんな素敵な運命の出会いを与えられそれを失わずにすんだことのほうが物語としてはずっと幸せなのだろう。
     ところで私はもとのシリーズが大好きだったので本書はそのつながりで目に留まって読んだけど、あとでネットで検索したら、有川さんファンでこれが初めてのコロボックル物語だという人も多くて、なるほど、いまの人気作家のかたが書き継ぐことに、佐藤さんご自身の新作が出るのとはまた違った意義があるのだなと納得した。現代に近い時代設定、そして佐藤さんのコロボックル物語を作中の登場人物も読んでいるというメタ構造が、そういう新規読者も、もとのシリーズにさかのぼっていきやすいであろう仕掛けになっている。


  • 三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社,2015年7月)
     なんだよ「カラスのイデア」って、と笑っているとやがてさらにすごい事実(?)が判明するのだが、ぜんぜんすごさを盛り上げない筆致で淡々と静かにツッコミが入りつつ、変化する部分もしない部分も呑み込まれていって飄々とした読後感を残す。

  • 鈴木明子『プロのフィギュア観戦術 選手たちの心理戦から演技の舞台裏まで』(PHP新書,2016年1月)
     今シーズン開幕直後くらいまでの情報に基づいた、初心者をやさしく手招きしてくれる観戦の楽しみ方や注目ポイント指南に、2014年ソチオリンピックの舞台裏、選手側の心情、フィギュアスケート界の未来への展望などなど。語り口が暖かい。

  • ワールド・フィギュアスケート編『よくわかるフィギュアスケート』(新書館,2011年2月)
     2011年刊行なので情報はその時点までのものなのだけど、コンパクトに初心者向け基本情報がまとまっている。漠然とした断片的な情報が散らばっていた頭のなかが、かなり整理されたよ。
     ただそれでも時に「え、それはどゆこと?」って引っかかって少し混乱したところがあったので、その世界にどっぷり漬かった人が本当に本当の初心者にもすらすら読めるように書くって難しいんだろうなということに思いを馳せたり(いや、そこまで致命的な初心者は想定されてなかったのか)。そして基本を押さえたあとは自力で脳内情報を更新していくしかないのだろうとは思うものの、新たにハマる人は常に発生するので、こういう手に取りやすい版型の解説書、数年に1回くらい出てくれたら嬉しいのにな。ちょこちょこルール改定される競技だし。私が発見できてないだけかもだけど。
     最初のほうの、19世紀から始まるフィギュアスケートの歴史解説が知らなかったこといっぱいでとても面白かった。おぼろげにリアルタイムで記憶にある世間で大きく話題になってたフィギュア界でのあれこれも、これまで私の脳内では時系列がごっちゃになっていたことに気付いた。


  • 乾石智子『炎のタペストリー』(筑摩書房,2016年3月)
     強大な力を持つことの恐ろしさを身をもって知る少女が、否応なしに軍事の中枢に巻き込まれていく。胸の内に生まれる感情が色彩豊かな毛糸の玉として表現されるのが面白かった。これがクライマックスに活きてくる。この著者の、抽象的なものを具象に落とし込むやりかたがすごく好き。
Posted at 12:32 | permalink | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark
コメント
from: かえる 改め きと   2016/04/02 11:04 PM
毎月書評楽しみにしています。

今回は「グインサーガ1日で19冊」が一番のビックリでした(^^;)
from: ならの   2016/04/12 8:42 PM
わわわ、きとさん(と、お呼びすればいいのですね)。月末更新のあとは自分のブログちゃんと確認してなくて、コメントいただいたのなんと今日まで気づいてませんでした、すみません(汗)。

グインサーガはですね、初めてそういうシリーズがあると知った中学時代に、序盤のところけっこう面白いと思ったので続きをぜんぶ読むと決めて、春休みのとある一日ほかになーんにもせず、ただただ読み続けたのです。あのときはヒマも体力もあった。もう二度とあんなことはできません。
コメントする









 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://days.mushi.pepper.jp/trackback/1262092