虫のいい日々

あぶはち取らずと言われても、極楽とんぼで過ごしたい。
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2017年8月に読んだものメモ
  • 東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』(文藝春秋,2017年5月)
     台湾の布袋劇が出てくるみたいだよっていう予備知識を得て軽い気持ちで手に取りましたが、なにかもう、なにかもう!!(興奮)それぞれ過酷な家庭環境にありながらもせいいっぱい生きてる3人の少年たちが、少年らしい一途さでエクストリームな計画を立ててしまうところから歯車が狂って、一緒に大人になることはできなくて。やるせなさで胸がいっぱいになった。不穏な空気を孕みながらも成長していく少年たちの日々がすごく生き生きしていて、大人になってからの話がしんどくて。でも読後感はむしろどこかさわやか。とにかくよかった。

  • 住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫,2017年4月/親本:2015年6月)
     若者のあいだで流行ってる本なんでしょ、とスルーしてきたが、最近になって(文庫化したから?)、けっこう大人のひとも読んでるなー、しかも評価されてるなーというのが目につくようになって、興味が湧きました。面白かったです。わりと分かりやすい、メッセージ性のある前向きな結末に至る物語で好感持てる。ただそれだけに、その普通に健やかで若者らしい結論を主人公が得るために、わざわざ女子高生が死ぬ必要はあるのか……みたいなもどかしさがあることも否定できない。それを言ったらドラマを作ることの意義がなくなるのかもしれないけど。
     まあ、このへんの「人死に」を誰かの成長のための機会として爽やかに描くことへの拒否感は、私自身が若い頃、人付き合いのうえで「お母さんを早くに亡くしたから人間ができている」的なお言葉をもらって内心「うるせえ、ママンが生きてたとしても俺は俺だ」とイラついていた経緯があるという個人的な病理かもしれず(そして、そういうイラつき方をしている時点で、まったく人間ができてなどいなかった)。


  • 柚木麻子『BUTTER』(新潮社,2017年4月)
     第157回直木賞候補作でした。なんというか、タイトルどおりすごくこってりとした、胸焼けするような描写の連続。がんじがらめになって息苦しい感じ、自分が否定する立場の存在に惹きつけられ、からめとられる感じ、理不尽への怒り、もどかしさが一丸となって胸中に去来する。でも一方で、追い詰められた主人公が底力を見せて風穴を開いてくれるので、絶望せずに読了できた。ただ、メタなことを言うと、まだ事件が記憶に新しい、実在の犯罪容疑者をモデルにしていることが明白な登場人物の内面を、作品のテーマに恣意的に沿わせてすごく深いところまでえぐるように推し量るので、そのこと自体が私自身の倫理的感覚とは拮抗していて、フィクションとしては読んでてかなり居心地が悪い面も。三十年後くらいには心穏やかに再読できるかも(心穏やかであっては意味がないのかもしれないが)。

  • 萩尾望都『ピアリス』(河出書房新社,2017年7月/初出:『The Sneaker Special』1994年〜1995年,角川書店,木下司名義)
     巻末に、初出時に別名義で小説として出ることになった事情についても語られているインタビュー収録。たぶんこれ、たとえ萩尾さんご自身の挿絵がついてなくても(ついてるんだけど)、読んでてすごく萩尾さんがお作りになりそうな物語だと感じたに違いないと思う。文章もやっぱり、視覚情報を重視する筆致になってる気がして、あくまでも「絵」のかたなんだろう、とも。あと、連載途中で雑誌が廃刊になったために、物語も途中でぶった切られてしまっており、萩尾さんご本人はもうこの続きを書く気はないとのことなので、ぽーんと放り出された気持ち。でも故郷の星を追われ逆境のなかにある子供たちの行く末については、各自が想像するしかないんでしょう。


  • 杜康潤『孔明のヨメ。』第7巻(芳文社,2017年7月)
     徐庶兄さんがんばる。それぞれの人が、それぞれの立場で、守るべきものを守ろうとしているさまが同時進行。権力や武力の運営には知力が不可欠なんだよなーと実感させてくるエピソードが多い。この巻で羽扇が初登場。本作の孔明のキャラに似つかわしい出し方。

  • 荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』第14巻(小学館,2017年8月)
     私は、初めて登場したときからずっとずーっと相川くんを応援しつづけているのですが、まだまだ応援しなくてはならないようだな! 彼は頑張ってますよ! どんどん卒業が視野に入ってきてて、みんなの将来が決まっていくんだなーと思うとどきどきする。八軒くんには報われておめでとう&新たな試練。それぞれの登場人物が、もともとのキャラをしっかり保ちつつ、はっきりと以前より成長はしているのが説得力をもって描かれていて眩しい。しかしやはりこれ、卒業したあたりでお話は終わってしまうのかなあ?
Posted at 16:08 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark
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