虫のいい日々

あぶはち取らずと言われても、極楽とんぼで過ごしたい。
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2018年1月に読んだものメモ
  • 温又柔『たった一つの、私のものではない名前 my dear country』(葉っぱの坑夫,2012年11月)
     言語とナショナリティの関係性を突き詰めて語ろうとしているエッセイ数編を収録。日本語が、日本国籍を持たない人にとっても第1言語であったり、思考の根幹をなしてはいない言語がいわゆる「母語」であったりといった状況を、この著者にいろんな表現で説明されるたび、私自身にとっても第1言語である日本語のあらまほしき未来を見るような風通しのよさを感じる。「外国にルーツを持つ子供たち」へのエールとして書かれた最後のエッセイ「わたしの名前は導火線」が、勢いとリズムがあって素敵でした。

  • 碧野圭『スケートボーイズ』(実業之日本社文庫,2017年11月)
     怪我によるブランクを経て復帰した大学生スケーターと、大学新聞部のスポーツ担当部員の視点から、全日本選手権までの約1年。各国のトップが集結する国際大会ではなく、全日本を最終章に持ってきて、必ずしも状況的に恵まれてはいないなかでも競技愛を維持して精一杯がんばる選手たちの、試合までの道のりを丁寧に描くことで、フィギュアスケートというスポーツそのものの、技の難易度や得点数とは違うところにも存在する魅力や面白さが分かりやすく提示されているように思いました。ただ、演技の裏にある選手の内面まで踏み込んでしまうフィクションの世界のフィギュアスケート描写は、登場人物をリアルに感じるようになればなるほど、本当なら見てはいけないものを見ているような心臓に悪い感じもして、ちょっとしんどくもあり(笑)。思いがけず読みおえるまでに時間がかかってしまった。

  • 譚璐美『近代中国への旅』(白水社,2017年11月)
     中国人と日本人のあいだに生まれ中国に本籍がありながら日本で育った著者が、数十年にわたる中国のさまざまな人たちとの出会いを回想。3つのパートからなるが、天安門事件を生き延びた亡命者らを追って各々のその後のスタンスを取材した第2部に特に重みが。

  • 高山真『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』(集英社新書,2018年1月)
     フィギュアスケート観戦歴38年という著者の、競技への愛がたっぷり詰まっていて圧倒される。ジャンプ以外の部分についての解説の熱量がすごくて、とりわけ永遠の観戦初心者にとってはトランジションなどの見方への理解を深めてくれるのがありがたい。どの試合のどの演技のどこ、という具体例を出して、テレビの試合中継ではおしなべて「難しい入り方」としか言ってくれてないようなジャンプ前の動きなんかもきちんと具体的に言語化してくれるの勉強になる。また、各国の選手たちのそれぞれの個性を評価し、すべての選手に対して敬意を払った記述になっているので、書名に入っている選手以外のファンも気持ちよく読めると思います。とても真摯な本で、フィギュアスケートという競技を見ていくうえでの、観戦する側の姿勢を改めて省みるきっかけにもなり、背筋が伸びるような気持ち。
     出版社のサイトに、本に書ききれなかったという話題をさらに語った特設エッセイページもあります。
Posted at 16:33 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark
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