虫のいい日々

あぶはち取らずと言われても、極楽とんぼで過ごしたい。
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2018年11月に読んだものメモ
  • 川端裕人(著)・海部陽介(監修)『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社ブルーバックス,2017年12月)
     かつては多様な「人類」がいたことが判明しているのに、なぜ現在地球にはホモ・サピエンスしかいないのかって、言われてみればそうだね不思議だね! って思うのにこれまで考えたことがなかった。なんせ、中学校で習った「ピテカントロプス・エレクトス(私の教科書での表記はたぶんエレクトゥス)」が、いまは使われていない旧称であることすら、ずっと知らずにいたのである。それくらいのド素人である私が、アジアで見つかった化石に基づく最先端の研究などについての話を、読む端から抜けていくわ! と焦る部分もありつつ、終始わくわくしながら読み進められたって、すごくないですか。こういったアプローチが、いかに多角的な技術や発想でおこなわれているかを垣間見ることができて楽しかったです。2018年の科学ジャーナリスト賞を受賞なさったそうで、遅ればせながらおめでとうございます。

  • 乾石智子『白銀の巫女 紐結びの魔道師供戞陛豕創元社,2018年9月)
     すごいクリフハンガーで終わってるぞ。これ3部作でしたっけ。あと1巻? 状況としては深刻なんだけど、この著者の作品では随一でない? っていうくらい主人公である魔道師のお兄さんが、どっしりと安定感や包容力はありつつ、基本的に明るいキャラなところに救いを感じる。あと、一見、作品の舞台は、異世界ファンタジーの王道らしい、わりとオーソドックスな価値観で動いている一方で、作品自体の根底にある価値観はとても現代的だな、みたいに感じるので、読んでてホッとする。

  • 北大路公子『すべて忘れて生きていく』(PHP文芸文庫,2018年5月)
     これに収録されてる、新聞連載の書評を褒めてらっしゃるかたがいたので。新刊書に限定せず紹介してるのがまず嬉しいし、毎回同じ文章量で、筆者本人のお人柄をうかがわせつつ、ときにツッコミ混じりに、「どんな本だよ」って読んでみたく思わせるのも巧い。しかし私は、最後に入っている短編小説2つが印象的だったです。いつものエッセイではなんてことない日常生活を文章の力で面白おかしく描写している北大路さんが、同時にその同じ脳内でこんなふうに、日常からふっと立ち位置がずれたような世界を展開しているのか、という。

  • 花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(河出書房新社,2018年4月)
     ウェブの連載は、面白いなーと思いつつ、部分的にしか読めてなかったので。とにかく、すごいバイタリティのかたで、いろんな出会いをきちんと糧にして、プライベートでのしんどいことも、この活動を続けていくうちに、心の整理がつけられてしまうし、人生において自分がなにを主眼に置きたいのかが見えてきてしまう。心に響いたものをほかの人とも共有したいと強く思える人は素敵だな。私にとっては、読書は最近、どんどん超個人的な経験として狭まっていく感じなので。勝手ながら私がこの著者の人に、なにか本をお勧めしてもらったら……という想像をしてみたんだけど、まず自分がオープンマインドにならなきゃ無理だ、という結論が出てきただけだった。お勧めされる側にも、スキルが要るのだ。

  • 彩瀬まる『不在』(角川書店,2018年6月)
     縁が切れていた父親の死後、名指しで生家を相続したことをきっかけに、家族や人間関係の捉え方のいびつさや無意識下の抑圧が顕在化してくる過程が突き刺さる。自分の人生を作品に反映させてきた漫画家の主人公の、創作と連動する問題との向き合いが力強い読後感につながる。

  • 上田早夕里『破滅の王』(双葉社,2017年11月)
     倫理や理想や純粋な探究心が、戦時下の異常事態に飲み込まれていく無力感と、そんななかでも、ひとりひとりの力の及ぶ範囲でできることをやろうとする者たちがいるという希望。綿密に調べ上げた史実と科学的事実に、フィクションを織り交ぜて重い題材を書き上げた力作。
Posted at 12:15 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark
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